やましい白い粉

やましい白い粉ここんとこ同居人は、毎朝の食事の際に「アミノコラーゲン」なる白い粉末をヨーグルトにかけて食べています。

「こうしてコラーゲン粉末を毎日取ってればさあ、あたしのお肌、三ヶ月後にはぴちぴちのつるんつるんになっちゃうよね! なっちゃうよね! うはっ」

高笑い気味にうれしそうに笑う彼女を見ていると、ぼくの中にこんな無邪気ないたずら心がわきおこってくるんです。

 ――あのコラーゲン粉末の缶の中身。こっそりとプロテインの白粉末にすり替えておいたらどうなっちゃうだろう?

おそらく三ヶ月後の彼女は、お肌ツルツルではなく、お肌ムキムキになっていることでしょう。


もちろん実行なんかしません。そんな無邪気なイタズラをしたら、ぼくは彼女に無邪気にぶっ殺されてしまうでしょう。無邪気なほどムキムキになった筋肉で。

【 2006/10/31 】
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ハッピーウェディング・ラヴァーズロック・バンド

スリンガーランドのスネアは、ぼくにとって猫に小判っぽい気がします先日の日記に書いたY君につづき、別の知人であるN君もが結婚することになり、結婚式二次会用の結婚式バンドを結成しました。

というのはウソで、実は結成じゃなくて再結成です。

……すいません。ホントは再々結成です。

新郎のN君。彼はバツ2で、結婚式をあげるたびに同じメンバーでバンドを組んでるんです。違う顔はボーカリストとして参加の新婦さんのみ。

「すごいねー。演奏の息もぴったり合ってるし、演奏曲のレパートリーも多いし。まるでずっと前からやってたバンドみたい」

練習後に寄ったパスタ屋さんで、うれしそうにそう言ったのは、メインボーカルをつとめる新婦さんでした。新婦さんのその発言に、メンバーであるぼくらは、ちょっと困ったような曖昧な笑みを浮かべ、お互いに顔を見合わせました。

どうやらN君は、バツ2という事情を新婦さんに話していないらしい。

「おまえ、言ってねえのかよ」
新婦さんがトイレに立った隙に、ぼくらメンバーは、新郎N君をきつい口調で問いただしました。当のN君はちっとも気にしていない様子で、というか、むしろ清清しいほどに、「再々結成もできたし、次は全国ドームツアーだな」などとへらへらと笑うばかりでした。そこで新婦さんが戻ってきたため、バツ2に関する話題は打ち止めになりました。

ギター担当のS君はN君の態度にどうにも気持ちのおさまりがつかなかったらしく、ほぼ食べ終わっていた自分の皿に、新婦さんに気づかれないようこっそりと、パスタの麺で「アホ」などという文字を書いておりました。他のメンバーもそれにならって、無言で「バカ」とか「マヌケ」などとパスタの麺でN君への苦言を書いたのでした。みんなは、新婦さんがかわいそう、的な気持ちを抱いていたのでしょう。優しい人たちばかりです。

みんなにならって、ぼくも優しっぽく見せなきゃなあ。なんてことを思いつつ、遅れを取るまいとしたぼくは、いささかあせりながら自分の皿にパスタで苦言を書こうと試みました。ところが「不謹慎」という文字はあまりにも字画が多く、麺で書くには不適当でありました。

そんなぼくらのひそやかな抗議に、N君はこれっぽっちも気づいていないようです。意味もなく高笑いしながらトイレに立ってしまいました。

「それにしてもEさん(新婦さん)、歌うまいよねえ。生のバンドで歌うのって初めてでしょ? カラオケと違って、慣れないうちはうまく自分の音が取れなかったりする人もいるけど、Eさんは完璧だったよねー。昔、バンドとかやってたの?」
そう新婦さんに話しかけるS君の口調は、本心から感心しているようでした。

すると新婦さん、ちらりとトイレの方角へ視線を走らせました。ふたたびこちらに向き直ると、ちょっとイタズラめいた笑みを浮かべ、小声でこう言ったのでした。
「実はね、あたしバツ1なの。前の結婚式のときもね、披露宴の二次会でこういうバンド組んで歌ったんだ。でも、Nにはヒミツね」
うふふ、なんて感じに笑う新婦さんです。

似たもの同士の結婚ということで、ある意味メデタシメデタシ、なのでしょうか? というわけで、当日は一生懸命演奏しようと思います。 なんかもう、意味不明なほど一生懸命に! それがロック! あるいは人生! たぶん!   

【 2006/10/30 】
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坂本龍一ライブ (渋谷C.C.Lemonホール)

このうさんくさいレモン看板に見下ろされるのって、なんとも釈然としない気分になりますありがたいことにチケットを頂きまして、昨夜は坂本龍一さんのライブに行ってまいりました。場所は、いつの間にかその名前を渋谷C.C.Lemonホールに変えた渋谷公会堂です。というわけで、趣味丸出しの独りよがり観覧日記です。興味のない方には、ほんとすいません。

今回のライブは、生ピアノ担当の坂本龍一さんと電子音担当のカールステン・ニコライさんというドイツっぽい方のコラボレーションによるものです。YMOのニオイや、アジエンスのCMソングのキャッチーさは微塵もない、非常にアンビエント色の強い、かつ即興性の高いものでした。昨年12月に東京オペラシティで坂本さんを含めた5名による即興ライブが行われましたが、ジャンルとしてはあれに近いものでした。

坂本さんの奏でるピアノは、バッハのゴルトベルク変奏曲を極限まで音数を減らし、しかもドビュッシーが自分流にアレンジしてしまったような、とでもたとえれば良いでしょうか(無茶なたとえですいません)。「メロディを弾く」というよりも、「音を置いていく」といった感じのピアノです。静謐なる日本庭園にさりげなく配置された飛び石――。そんなイメージを彷彿とさせながらぽつりぽつりと置かれていく繊細なピアノ音は、音を出すことでむしろ静けさを際立たせているかのようでした。そのピアノを包みこむように、ニコライさんのノイズ的な電子音がパルスを刻みます。

ゆらぎ感まんまんとした呟きのようなピアノと、正確なパルスを刻む無機的な電子音とがあいまって、なんともいえない切ないロマンティシズムが漂います。もしもインダストリアルなノイズをサンプリングし、それで作ったループリズムの上に、えらく深いリバーブをかけたドビュッシーのピアノを乗せて聞いたりしたら、このライブから感じたのと同じ切ないロマンティシズムを感じられるような気がします。(なんか分かりづらいたとえばかりですいません)

この種の音楽は、こういったジャンルに興味のない人からしてみれば、「難解な現代音楽」として捉えられかねないかもしれません。そういった方たちにしてみれば、今日のライブは、八甲田山死の行軍的な眠気と戦わねばならなくなるに違いありません。実際、同行した同居人はわずか一曲目で、「天は我を見放した!」的な状態に陥っておりおりました(古いネタですいません)。ちなみに終演後の彼女、「ライブで眠っちゃっても損した気分にならないライブって、ある意味すんごく得したライブって感じだよね」などと、ポジティブなんだかヤケクソなんだかよく分からない感想を述べておりました。

話をライブ会場に戻します。場内のお客さんの中には、こういったタイプの音楽であることを想定していなかった方も多かったのではないでしょうか。演奏後の拍手にも、なんとなく戸惑った感がはらまれていた気がします。

演奏本編はおよそ1時間。MCは一切なし。演奏内容とも合致した、ある意味観客を突き放すような、非常に硬派なライブでした。そのせいか、アンコールを求める拍手は微妙にまばらでした。それでも2曲のアンコール演奏が行われました。自分たちの拍手によっての「引っ込んだ坂本さんが再び登場」というシチュエーションが、観客の方々にある種の高揚感というか演奏者との一体感みたいなものを覚えさせたのか、2度目のアンコール後は、場内割れんばかりの拍手が響き渡りました。すでに予定されていた曲はやりつくされていたらしく、みたび登場した坂本さんとニコライさんは、演奏をすることなく挨拶するだけにとどまりました。

ところが、ふたりが引っ込んだあともさらに拍手がつづき、うれしいことに3曲目のアンコールが実現。3曲目のアンコールに関しては、どうやら完全に即興だったらしく、メンバー2人はお互いに目配せをしあいながらの演奏開始。また、3曲目のアンコールが想定外であったことを裏付けるように、曲に合わせて映写されるビジュアルも、ここではありませんでした。スポットライトのみの演奏は、そのそっけなさが即興の緊張感をさらに高めてくれたような気がします。(なんて。もしかしたら、想定外と思わせるのも演出のうちで、そうとは知らずにぼくが喜んでいるだけなのかもしれませんが、それはそれでシアワセです)

ライブのリーフレットには、「別の境地に連れて行かれる感覚」という言葉で今回の音楽を表現しておりましたが、ぼくにはむしろ、普段自分が忘れていた自分の奥底にある静かな場所に引き戻されたような、そんななんともいえない落ち着きを覚えることができた音楽でした。

アンコールを含め、およそ1時間半で公演は終了。もうちょっと聞いていたかったなあ。不満といえばそのくらい。この2年間で行われた坂本龍一さんの4種類のライブ(バンドツアー、ピアノソロライブ、東京オペラシティ即興ライブ、そして今回のライブ)の中では、ぼくにとってもっとも満足度の高いライブでした。

それにしても、率直に言って商業ベースには乗りづらいこのような音楽を、会場のこんなでかいスピーカーで聴くことができるなんて。帰宅するなりこの2人組のCDを自宅のスピーカーで聴いてみたところ、今日のライブのお得感が一段と実感できたのでありました。

【 2006/10/29 】
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ロハスな思い出

「タダ」(無料)のことを、昔は「ロハになる」って言ってませんでした? おそらく「タダ」、つまり「只」の漢字をカタカナの「ロ」と「ハ」に分解して生まれた俗語なんじゃないかと思います。

そんなわけなんで、ちょっと前に流行った「ロハス」って言葉、タダになるとか安上がりとかって意味かと勘違いしてました。

FMラジオを聞いてたら、オシャレナビゲーターの男女が、
「出がらしのお茶っ葉を掃除に使うんです」
「それはロハスですね」
なんてやってたもんだから、ますますそう思い込んでたんですよね。

で、得意げに「ビンボーゆすり」のことを「ロハスゆすり」とか言っちゃったりしてたわけですが、当然のように同居人からは本物のバカを見るような目を向けられたものでした。

そんなロハスな思い出。思い出ってタダで楽しめるから大好き。

【 2006/10/28 】
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うな重をご馳走になる

もちろんぼくはプロの作家なんかではなく、どこにでもいるありふれた内縁の専業主夫なのですが、とある出版社の編集者さんにうな重をご馳走になってきました。

「マサヨシさん、特上じゃなくていいんですか?」

そう訊ねられたのですが、「じゃ、特上でお願いします」なんて言える度胸なんかありません。口で言えないもんですから、ジェスチャーで表現してみました。なんかすんごく気持ち悪いものを見る目で見られました。ジェスチャーの甲斐もなく、結局うな重は「上」に落ち着きました。

うな重はおそらく美味しかったはずなのですが、なにぶん話題がぼくの書いた小説のダメ出しばかりだったものですから、味はよくわかりませんでした。というか、編集者さんって、何べん会っても緊張してしまいます。

というわけで小説はボツ。前半を丸々書き直すことになりました。

まだスタートラインにも立ててない感じです。ぼくみたいなポジションのプロ未満の人って、きっと腐るほどたくさんいて、みんながんばってるんだろうなあ。そしてぼくももっとがんばらねばなあ。

がんばらねば!(自分に念押し)

【 2006/10/28 】
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猫舌のネコ

油断しました。

焼きあがったポークソテーをちゃぶ台に置いたところ、ほんのわずか目を離した隙に、飼いネコにポークソテーを咥えられてしまいました。

ネコのヤツときたら本気で猫舌らしく、咥えたポークソテーをすぐに床に落としてしまいました。そして、一瞬「しまった」的な表情を浮かべたあと、ぼくのことを睨み付けてきました。その目はまるで「人肌温度、つうかネコ肌温度で焼けよ! 少しは気ィきかせろ! ばかが!」とでも言いたげでした。逆ギレかよ。

ぼくがふと思い出したのは、サザエさんのことでした。

アスファルトの道路というのは、小石やらガラス片やら、ときには破傷風すら招きかねない危険が散らばっておりますが、にもかかわらず、ハダシのままで家を飛び出してオサカナ咥えたドラネコを追いかけたサザエさん。あなたはネコを追ってどうするつもりだったのですか? 

まさかドラネコが咥えた魚を奪い返して、ドラネコのヨダレにまみれた魚を食べようなんて考えていたんじゃないでしょうね? それとも、事情を知らない波平あたりに、黙って喰わせちゃおうなんて考えていたのですか?

……ポークソテーをダメにされたぼくよりも、波平さんの方がずっと不憫。なんて無理に思い、ネコへの怒りを抑えました。

「世の中には食べたくても食べられない人がいるのよ」的に、自分よりも困難な境遇の人を引き合いに出しては自分を納得させるという、性格的にいささか問題のあるぼくです。

ネコ


【 2006/10/27 】
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